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新実徳英さんの合唱講座 

  日程 2022年10月30日(日)
  時間 午後1時〜午後4時30分

  場所 西成区民センター大ホール

 大阪のうたごえ協議会と関西合唱団の共催で新実徳英先生をお迎えしての合唱講座が開かれました。
 曲目は先生が作曲された「昨日よりも優しくなりたい」(楽譜集<スタートライン>に収録)からと「あなたはどこに」(<つぶてソング第1集>に収録)です。
共に詩は和合亮一さんによるものです。関西合唱団をはじめ大阪のいくつもの合唱団で事前に練習をしてこの合唱講座に臨みました。今日の講座で先生のご指摘はどこにあり、我々は何も学ぶことが出来たのでしょうか。
 さて、そんな合唱講座の様子を少しだけ紹介します。

 
西成区民センターの入口です。
この施設の隣には大阪フィルハーモニー管弦楽団の練習場である大阪フィルハーモニー会館があります。
  入口には受付があり、チケットを出して資料をもらいます。楽譜集<スタートライン>の正誤表もありました。
なんと「昨日よりも優しくなりたい」の一部が変更になっていてビックリ。もっと早く渡して欲しかったです。
 
昨日の関西合唱団の全体練習と同じく、午後1時過ぎより2曲の練習をします。指揮は山本恵造さん、ピアノは石田瑞枝さんです。   事前練習にもかかわらず沢山の人が集まって練習しています。
 
新実先生が来られました。少し早いですが午後2時前から合唱講座の開始です。   先生はまず、この2曲を作曲した経緯や、詩人の和合亮一さんのことについて語られました。
 
豊中混声合唱団の依頼で初めて和合さんの詩に出会ったときの印象、東日本大震災で和合さんがツイッターで出されたメッセージを受けて、すぐに作曲をされてご自身が歌ってYouTubeに投稿されたことなどをお話しされました。関西合唱団では東日本大震災の翌年の定期演奏会で「あなたはどこに」を演奏しました。   練習は「昨日より優しくなりたい」から始まりました。先生が「初めて歌う人は手を上げて下さい。」と問いかけると会場に2割くらいの人が手を上げました。その結果を受けて先生は丁寧に合唱練習も兼ねた講習をして下さいました。
 
上着を脱いで指揮をされました。まず全体を通して歌ってからリハーサル番号に沿って繰り返して練習していきます。   その間にも次々と会場に人が入り、準備した椅子の大半が埋まりました。
 
伝えたい歌詞の冒頭の子音を英語のように前に出すことで伝わりやすくなることをいろいろな箇所で指摘されていました。   ハミングなどの歌詞の無い部分も「無表情にならないこと。意味を考え想像力を働かせて歌って欲しい。」と厳しい指摘がありました。
 
4時で一旦休憩。最後は<つぶてソング>から「あなたはどこに」です。
休憩の時間に先生が「あなたはどこに」の一節を歌ってらっしゃいました。
  「あなたはどこに」の練習に入ります。先生はこの<つぶてソング第1集>に載っている6曲のタイトルは全て詩の冒頭から取っていると解説されました。そういえば、オペラのアリアの曲名も冒頭の部分を取っている場合が多いですね。
 
全員でメロディーを何回か通して歌うことから始められました。ビブラート無しでやさしく呼びかけるように歌って欲しいとのことです。この曲は実は2つのツイッターから出来ていて、途中に入る部分は明確にスパッと切り替えて力強くたくましく歌って欲しいとのことでした。   練習後に先生は「人間は99%のエゴで出来ているが、残りの1%を人のために使えるかどうかが大切。」「戦争やコロナなど大変な問題があるが、歌は思想を越えて意見が違ってもお互い喜び合える原点がある。みんなが集まって合唱できる喜びを大切に。」とお話しされました。
 
最後に先生に質問をとのことで、「良いメロディーはどんなときに浮かんでくるのでしょうか」との質問に対し、「果報は寝て待て。頭が空っぽになってそこに天から降ってくる。出来ないときは出来ない。」とのお答えでした。特に「あなたはどこに」は詩を読んだときにメロディーも自然に浮かんできたそうです。   また、「<つぶてソング第1集>をせっかく買ってくれたのだから、他にも良い曲が載っているので是非歌って欲しい。」といわれ、「誰もいない福島」のはじめの部分を歌われました。
ここで合唱講座は修了。この後はこの<つぶてソング第1集>のサイン会が行われ、その後は昨日に引き続き何名かの人と一緒に打ち上げに行かれました。

感想 機関紙「くれっせんど11月3日号」より

 楽しみにしていた新実先生の合唱指導。
 『昨日よりも優しくなりたい』(←やさしくない曲)の指導で特に感じたのは、歌いやすくなる言葉がけです。
 出だしの音が取りにくいところは「音が下がるのでしっかり準備して」、テンポが遅くなってしまうと「もう少し前へ進んで」、特に歌いにくいところも「ここは忙しいから気を抜かないで」など、的確なアドバイスで歌い手を励ましながら、繰り返して練習していきます。
 比較的簡単なフレーズで、何度か繰り返してから『ここだけ楽譜を見ないで歌う』という練習も。ステップアップへのヒントになりますね。
 マスクをして歌うには「舌をしっかり回す」「子音をフライングさせる」ことが特に必要なめだと実感しました。
 今日の練習で、この曲が好きになってしまったのは、新実マジックでしょうか♪
 『あなたはどこに』では、ユニゾン練習の重要性を教えていただきました。ユニゾンで歌ってから合唱で歌うと、自分のパートと主旋律の関係がとても分かりやすくなりますね。
 素敵なピアノを弾いていただいた石田さん、ありがとうございました。
【S1 きたえ〜る班 Nさん】

 「譜面から、何を読み取るか」を印象深く、胸に刻みました。
 先生からは、想像力を働かせ、どんな音楽、歌になるのかを、イメージし、常に譜面から読み取る。
 日頃、、声楽の先生だったり、指揮者から指摘されていることも含め、再認識したしだいです。
 @フレーズの歌詞が、日本語として伝えられるよう、母音を繋げ、フレーズをなだらかな曲線になるよう歌う。
 A隠れているリズムを歌うこと二分音符は4分音符2こを繋げて歌う。シンコペーションは、隠れている8分音符を歌う。
 B長い音符、徐々にクレッシェンドし、フレーズが上向きに上りつめるときも徐々にクレッシェンド。
 C高音や低音に跳躍するとき前の小節から準備しておく。
 DPのフレーズを、固く歌う。子音を立てて歌う個所があり。
 E回りの声を聞いて、合わせることが合唱。
 Fビブラートはなしで、まっすぐに歌うこと。
 等々、書き込んだ事は沢山ありましたが、心に残っていることを書き上げました。てみようか。」と、前の小節、フレーズに立ち返りながら、練習していつの間にか、初見の人でも、歌えるようになっている事です。
 隣の衛都連の方が「初めてなのに歌えてきたわ。」と言われていました。出来ていない時は、数多く言われる事はありませんが、「じゃあ、もう一度」と言われ、「ああ、達成できてないんだ」と、いうメッセージを受けとることが出来ました。直後は、出来なかったという悲しさも、つのりますが、自分を奮い立たせることも出来ました。穏やかに言われると、それは、それで、怖いです。
  「にこやか、静かに、何度も練習」は、教職にあったわたくしの理想でもありましたから、先生の指導は魅力的でした。相手は、色々変わる訳で、手をかえ品を変え、極めて行く訳で、過ぎ去った日を思い出しながら、新実先生の御指導に、深い感銘を受けました。
 充実した2日間でした。
【S1 きたえ〜る班 Mさん】

 合唱講座では、「スダートライン」の構成が前半と後半で対照的に作られていること、楽譜の中には意味のない音符や言葉はないということ、「ルルル」や「ラララ」の表情を考えることを学んだ。また、音が跳躍するときの心構え、次に来る音程を意識して準備すること、逆に音程が下がるときも目指すところを準備することを学んだ。 57小節「うずまくー」のようにバスやテナーの音が動くところのソプラノ・アルトの動かない音ののばし方(日頃注意されていることだが)責任をもって音を伸ばすこと。「あなたはどこに」ではユニゾン部分のうたい方で、うまい合唱団はユニゾンがうまい、ユニゾンは互いの声を聴き合い互いの声の質を一つに合わせることが必要ということ。合唱評価の視点となること。これも従来の練習で教えられていながら、意味の理解が不十分だったと気付かされました。
 二日間充実した練習でした。ほかのパートの音の動き、言葉の動きも聞けるようになるくらい練習が必要なこと、ソプラノはメロディラインが多いけど、ほかのパートの音の動きで音の重なりが深くなり全体として素敵なメロディーが作り出されることを実感しました。
【S1 南班 Yさん】

 10月29日30/日と、2日続きで新実徳英さんの指導を受けた。一言で言うと、「楽しかった!」に尽きる。なぜ楽しかったのか、考えてみた。
  @何度も長いフレーズを歌わせてくれる。ぶつ切れではなく、指示したところができるまで、3度も4度も歌わせてくれた。たっぷり歌えたという満足感で、ソプラノや男性の練習の時も、気持ちよく  聴けたこと。
  A『子音の出し方』とか、どこで『準備』をするかという見本を、繰り返しやってみせてくれた。完  全にはできないけれど、なるほどな、ああすればいいのか、と納得がいったこと。
  B作曲するときのねらいの説明があって、休符の意味とか盛り上がりとかに込められた作曲者の意図  が理解できたこと。
  C「みなさん、すぐに半分くらい忘れるのですよね」といいながら、「自分もそうですけど」とフォローして和ませる心遣い。
  D自ら、「30歳後半になって、『人に優しく』を心がけました」という、新実氏の優しさがにじみ出た指導であったこと。
【A2 ポマB班 Oさん】